心を尽くして ~生前契約のご相談を受けて~
こんにちは。心和寺の住職でございます。
お寺には日々さまざまな方が訪れ、それぞれの想いや事情をお聞かせいただきます。
先日も、姉妹お二人で生前契約のご相談に来られた時のことが、深く心に残っております。
今日はそのお話を、少しだけ綴らせていただきます。
お母さまとの時間を大切に
その方は、お母さまが余命宣告を受けられたとのことでした。
突然の知らせに、娘さんは深い悲しみの中でどうして良いかわからず、姉妹で心和寺へご相談に来られました。
「焦って決めてしまったら、後悔するような気がして……」と、
涙ながらにおっしゃるその姿に、私も胸が締めつけられる思いがいたしました。
娘さんはお母さまのアルバムを大切そうに抱えて来られ、
境内の静かな一室で、1枚1枚ゆっくりとページをめくりながら、お母さまのお人柄や思い出を語ってくださいました。
「母は本当に優しい人で、私が何かにつまずくといつも笑顔で支えてくれました」
「お花が大好きで、庭にはいっぱいのお花がありました」
涙で声を詰まらせながらも、お母さまへの深い愛情が言葉の一つひとつににじみ出ていました。
その語りを聞きながら、私自身も気がつけば涙を浮かべ、言葉にならない時間が流れました。
心を込めて戒名を考える
私は、戒名をつけさせていただく時、いつも「その方の人生と心に寄り添うものを」と心がけています。
その方がどのような人生を歩み、何を大切にされてきたのか。
それを知ることが、戒名を考える上で何よりも大切だからです。
娘さんのお話をじっくりと伺い、そしてアルバムのお母さまの笑顔を見つめながら、一つひとつの言葉を紡ぎました。
お母さまの穏やかなお人柄、優しい笑顔、そしてお花を愛する心を込めて、
戒名を3つまで絞り込み、娘さんにお選びいただきました。
「どれも素敵で、母にぴったりです……」
そうおっしゃりながら、涙を拭い、少しホッとしたような表情を見せてくださった時、
私も「お役に立てたかな」と、心から嬉しく思いました。
しっかりとお見送りすること
それから、お母さまが旅立たれ、葬儀を執り行うこととなりました。
お母さまが大切にされた人生を偲び、ご縁のあった方々と共に、心を込めてお見送りをさせていただきました。
祭壇には、娘さんが選んだお母さまの笑顔のお写真が飾られ、桜の花のように温かく、その場を見守っているようでした。
葬儀が終わった後、娘さんは私のところに来られ、静かにこうおっしゃいました。
「住職にご相談して、本当に良かったです。焦らず、母のことをしっかり考えながら決められました。
母もきっと喜んでいると思います。」
その言葉に、私自身も救われるような気持ちになりました。
葬儀は、ご家族や大切な方々が心を整え、その方とのつながりに感謝し、新たな一歩を踏み出す時間でもあります。
私たち僧侶は、そのお手伝いをさせていただく役割なのだと、改めて感じさせられた瞬間でした。
大切な時間を、後悔しないために
人はいつか、誰もが「お別れ」の時を迎えます。
それは避けられないことであり、だからこそ、その時をどう迎えるかが大切です。
生前にご相談をいただくことで、心の整理がつき、
大切な方と過ごす時間を、より愛おしく感じることができるかもしれません。
そして、その方の人生に寄り添った「送り方」を、後悔なく選ぶことができます。
心和寺は、いつでも皆さまの心に寄り添い、お手伝いさせていただきます。
悲しみや迷いを一人で抱えず、どうぞお気軽にご相談ください。
お話を伺うことで、少しでも心が軽くなるなら、こんなに嬉しいことはございません。
最後に、今回の娘さんとお母さまのご縁に心より感謝申し上げます。
そして、これからもお一人おひとりの心に寄り添い、丁寧にお手伝いをさせていただきたいと思います。
どうか皆さまも、日々を大切な方と共に、心穏やかに過ごされますように。
合掌
心和寺
岡山県倉敷市老松町5-3-62
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