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会話力_美容院に行ってきました

 

会話力

先日、美容院に行ってまいりました。
私は特定の技術者を指名することはなく、サービスの内容だけを伝えてお任せしています。
そのため、毎回違う美容師さんが担当してくださるのですが、それがまた楽しみでもあります。

さまざまなタイプの方がいて、それぞれの接し方や会話の雰囲気から多くの学びがあります。
美容師さんは髪を整えるだけでなく、施術中の空間づくりも大切な仕事のひとつなのですね。

💬 たわいのない会話から生まれる信頼

今回の担当は、35歳くらいの男性の美容師さんでした。
「今日はお休みですか?」という何気ない問いかけに、「仕事の合間に立ち寄りました」と答えると、そこから趣味や愛犬の話へと自然に話が広がっていきました。

住職として、多くの方と対話をする機会がありますが、相手を構えさせない自然な会話にはいくつかの鍵があると感じています。

  • ① 自己開示を少しだけする: 自分のことを少し話すことで、相手も話しやすくなります。
  • ② 相手の言葉を繰り返す: 「〇〇なんですね」と言い返すだけでも、聴いている安心感が生まれます。
  • ③ 相手の“感情”に注目する: 内容よりも「うれしかったんですね」「大変でしたね」と感情を受け止めると会話が深まります。

🧘‍♂️ 仏教に通じる「間」のこころ

仏教では「空(くう)」という概念があり、それは“余白を大切にする心”とも言えます。
会話においても、沈黙や間を恐れずに、落ち着いて静けさを共有できる関係が理想です。

話すことばかりに意識がいくと、相手の表情や気持ちを見逃してしまいます。
表情・声のトーン・間の取り方など、言葉以外の部分にも心を配ることが大切です。

🙏「聞くことは、供養である」

仏教では「聞くことは供養」とも言われます。
相手の話をただ聞くのではなく、その存在をまるごと受け止めるという姿勢が、会話には必要です。

住職という立場では、お悩み相談を受けたり、法事や葬儀の折にご家族の心に寄り添ったりする機会が数多くあります。
ときに泣きながら語られる方、ときに言葉に詰まってしまう方もいらっしゃいます。そんなとき、私はあえて言葉を返さず、ただ静かにうなずき、共に黙ることもあります。

言葉がなくても伝わる「安心」や「祈りのこころ」は、会話のその奥にあるのだと、僧侶として日々感じております。

📿 法話の現場から

法話を行うとき、私は一方的に教えを説くだけでなく、会場にいる方々の表情や空気を見ながら話すように心がけています。
笑顔の方がいれば少しユーモアを交え、難しそうな顔をされていれば語り口をやわらかくします。

法話は「対話」でもあります。
話す私と聞く方々が、ひとつの縁の中で仏さまの教えを共有する時間だと捉えています。

🌱 まとめにかえて

私たちの言葉は、ときに薬にもなり、また刃にもなります。
だからこそ、日々の会話の中に、仏教の精神「慈しみ・思いやり・中道」を活かしていきたいものです。

今日、誰かとの会話の中に、ほんの少しの温かさが生まれることを願って。