ご自愛について
ご自愛について
クリスマスが近づく冬の日、副住職から思いがけない贈り物をいただきました。
美しい包装紙に包まれたそれは、少し上質なボディソープでした。
「私たちは仏に仕える身だけど、ちょうどいい機会だと思って、ささやかな気持ちとして…」
と、少し照れくさそうに副住職は言いました。
贈り物に添えられたその一言が、心にじんわりと染み渡りました。
しかし、それだけでは終わりませんでした。
「いつも周りの人や家族や信者さんにばかり気を使っているけど、
自分を労わることも大事だよ。」
その言葉に、胸が熱くなりました。
日々忙しさに追われ、僧侶としての務めに励む中で、
自分自身のことは後回しにしてしまいがちだった自分にとって、
その言葉は大きな気づきとなったのです。
ご自愛とは
「ご自愛」とは、自分を大切にすること、自分に優しくすることです。
仏教の教えでは、他者への慈悲を説きますが、それは自分自身への慈悲も含まれています。
ある法話で、お釈迦様が語られた言葉を思い出します。
「自らを灯明とし、自らを拠り所とせよ。他を拠り所としてはならない。」
この教えは、自分自身を大切にし、自分の心を見つめることの大切さを説いています。
周囲の人々に慈しみを持つことはもちろん重要ですが、
その源泉となる自分自身が健やかであることが、真の慈悲の実践に繋がるのです。
プレゼントに込められた思い
ボディソープを手にしたとき、
その香りや触感が心と体に優しい時間をもたらしてくれるように感じました。
それは単なる日用品以上のものでした。
副住職の贈り物には、自分を大切にしてほしいという思いやりが込められていたのです。
忙しい日々の中で、自分のために時間を取ることは贅沢だと感じるかもしれません。
しかし、それは決して無駄ではありません。
むしろ、自分を整えることで、周りの人々への優しさがより豊かになるのです。
ご自愛のすすめ
このエピソードを通じて、皆さんにもご自愛の大切さを伝えたいと思います。
小さなことで構いません。
たとえば、温かいお茶をゆっくり飲む時間を作る、美しい景色を見て心を癒す、
好きな本を読む—そのようなひとときが、心にゆとりをもたらしてくれます。
仏教の修行の中でも、「止観(しかん)」という瞑想があります。
「止」は心を静め、「観」は物事を深く観察するという意味です。
この止観の実践は、忙しい現代人にとっても有効です。
心を静め、自分自身と向き合う時間を持つことで、気づきと安らぎが得られるでしょう。
優しさの循環
副住職の言葉と贈り物から学んだことは、
優しさとは循環するものだということです。
他者に向けた優しさが自分を癒し、
自分を労わることがまた他者への優しさとなる—その循環が、私たちの人生をより豊かにします。
このクリスマス、仏教徒としての視点を持ちながらも、
自分や大切な人に思いやりを贈る機会にしてみてはいかがでしょうか。
その思いやりは、たとえ小さなものでも、心を温める大きな力を持っています。
皆さんもどうか、ご自愛を忘れずに。
合掌
心和寺
岡山県倉敷市老松町5-3-62
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